メモ

荒野の恋〈第1部〉catch the tail (ファミ通文庫)作者: 桜庭一樹,ミギー出版社/メーカー: エンターブレイン発売日: 2005/05メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 44回この商品を含むブログ (185件) を見る 恐るべき傑作。ライトノベル色を外して単行本で刊行し…

半年も放置しておいたら、管理画面が激変していて驚いた(汗)。mixiのお蔭でこの日記、とくに続ける理由もなくなったのだが、しかし閉めるのもなんだか勿体無いような気もするので、今後はラノベを読んだときだけ更新することにしてみようか――などと考えて…

■最近読んだ本(読了順) 黒田研二『幻影のペルセポネ』(文藝春秋) 木内一裕『藁の楯』(講談社) 五十嵐貴久『Fake』(幻冬舎) 沙藤一樹『新宿ミルク工場』(講談社) 折原一『偽りの館――叔母殺人事件』(講談社) 米村圭伍『退屈姫君 海を渡る』(新潮…

十月新刊チェック本ですよ。 ■単行本 初野晴『漆黒の王子』(角川書店) 若島正『乱視読者の新冒険』(研究社) 小川勝己『あなたまにあ』(実業之日本社) 幸田真音『日銀券(上下)』(新潮社) 樋口有介『たき川の米造捕物控』(筑摩書房) 吉田篤弘『百…

頁数の少ない二冊の本を読了する。北森鴻『螢坂』(講談社)は『花の下にて春死なむ』『桜宵』に続くシリーズ第三弾。ミステリとしては異色の構成を持つ作品が多く、もとより本格ミステリとは全く無縁の内容になっているが、読み物としてはたいへん上質で、…

津原泰水の『綺譚集』(集英社)を読了したが、それにしても(敢えて誤解を恐れずに言えば)津原泰水はつくづく因果な物書きであると思わずにはいられない。この作家にこれほど文章力が無ければ、エンタテインメント作家としてもっと無難に評価されていただ…

藤村いずみ『あまんじゃく』(早川書房)読了。巻末短編のタイトルが「セラー」になっているのは、同じ殺し屋を主人公に据えたローレンス・ブロックのケラー・シリーズに対するオマージュなのかも知れない。と、そんなことはさておき、その最終短編(という…

山口雅也『PLAY』(朝日新聞社)、浅暮三文『嘘猫』(光文社文庫)を読了。『嘘猫』は卑怯なほどリリカルな作品世界に驚かされるが、淡々とした素直な文章で描かれているので、読者の感情に直接訴えてくるような筆致にも嫌らしさが感じられない。まさに…

雫井脩介『犯人に告ぐ』(双葉社)読了。〈劇場型捜査〉という斬新な設定を採用した時点で、この物語は従来の警察小説とは異なる面白さを創造し読者に提示しなければならなかったということを、果たして作者は自覚していたか。結局、劇場型捜査という設定の…

麻耶雄嵩『螢』(幻冬舎)読了。作中にひとつ、ありふれたトリックの裏表を綺麗にひっくり返して使ってみせたような秀逸なアイデアが盛り込まれており、そのアイデアだけでもこの作品は賞賛に値する。とはいえ中盤までの展開がどうにも退屈で、絶賛とまでは…

最近読んだ本

『追憶のかけら』貫井徳郎(2004.07)実業之日本社 ISBN:4408534609 『セカンド・サイト』中野順一(2003.05)文藝春秋 ISBN:4163218807 『野を馳せる風のごとく』花田一三六(1996.07)角川文庫 ISBN:4044176019 『青い繭の中でみる夢』山之内正文(2004.07…

山本弘『審判の日』(角川書店)を読み終わった直後だったので、なんとなくさっさと買ってさっさと読んでしまった村上春樹の『アフターダーク』(講談社)。そこそこに興味深い内容でそこそこには楽しめたものの読後感は中途半端で、この程度の要〈読み解き…

ただいま蔵書を整理中。それに関連して、以前読んだ作品をなんとなく読み返してみたりしている。三浦明博『滅びのモノクローム』(講談社/第48回江戸川乱歩賞受賞作)、村雨貞郎『マリ子の肖像』(文藝春秋/第4回松本清張賞受賞作収録)など。『滅びのモ…

第50回江戸川乱歩賞受賞作、神山裕右『カタコンベ』(講談社)を読了する。受賞してからの手直しが上手くいったのか、それとも最初からこれくらいの完成度を有していたのかはよく判らないが、予想よりもよく出来ていて、楽しめた。縮小再生版『ホワイトアウ…

清涼院流水『とくまでやる』(徳間デュアル文庫)をさらりと読み終える。作中で発生している事象は非常に派手なのだが、決定的に筆致が地味という不思議な作品。昔の印象と違い、落ち着いた書き手になっている事実に驚いた。手間は結構かかっているように思…

殊能将之『キマイラの新しい城』(講談社ノベルス)読了。ミステリ・コメディ*1の快作。私見では、殊能作品においてミステリはおもちゃにされるだけであり、その弄び方に中途半端な批評性が入ってくるから正直言って彼の作風は好みではないのだけれど、あか…

エリザベス・ボウエン『あの薔薇を見てよ』(ミネルヴァ書房)を引き続き快調に通読中。とはいえ、ここに収録されているような上質な短編を次から次へと読み散らしてしまうのはなんだかとても意地汚い行為のように思えてしまうので、毎晩一、二編ずつ堪能し…

日向まさみち『本格推理委員会』(産業編集センター)読了。これは少し考えてから感想を書きます。最大の武器はキャラクターが楽しいところ、最大の弱点は長すぎるところ。400ページに迫る長さに比すほどのストーリーが語られるわけではないので、やっぱりも…

一日じゅう本を読んで文章を書いて部屋の掃除をしていたら疲れてしまった。今日はもう寝る。目も疲れたし。でも、たまにはこういう日があっても良いと思う。 日向まさみち『本格推理委員会』(産業編集センター)は半分を過ぎたところ。

廣真希『量子館殺人事件』(暖流社)読了。次の次くらいに読もうと思いつつ序盤をぱらぱらと捲っていたら、あっという間に読み終えてしまった。タイトルが『量子館殺人事件』、しかも帯に「スチームパンク探偵小説」とあるので如何にも怪しい本だと思いつつ…

現在、さらに日記改造中。西澤保彦『パズラー』(集英社)と沢村凛『カタブツ』(講談社)の感想を手直しし、花田一三六『八の弓、死鳥の矢』(角川書店)と倉阪鬼一郎『42.195』(光文社カッパ・ノベルス)の感想を独立させ、池井戸潤『金融探偵』(徳間書…

戸松敦矩『名探偵は九回裏に謎を解く』(創元推理文庫)読了。ご町内ミステリと呼ぶのがぴったりな内容で、爆破騒ぎも誘拐事件も舞台となるこの町内では明るいお祭り騒ぎに等しい、という遊戯的な空気が遵守されている。その割に真相がやや生臭いのは減点材…

恩田陸『夜のピクニック』(新潮社)読了。 いやあ、作家としてのキャリアもいい加減長いんだし、各出版社から多作を強いられていて疲れだって来てるだろうし、そんな決して良くない状態のなかで、よくもまあ不意打ちの如くこんな瑞々しい傑作放ってくるよな…

探偵役の設定が見事な風野真知雄『喧嘩御家人 勝小吉事件帖』(祥伝社文庫)を楽しく読了したあと、松本清張の短編(「なぜ『星図』が開いていたか」とか)を拾い読みし、いまは恩田陸『夜のピクニック』(新潮社)を読書中。冒頭部分を立ち読みしたら止まら…

八の弓、死鳥の矢

花田一三六(1996.10)角川書店 ISBN:4047870145 【ファンタジー/架空歴史】 「八の弓、死鳥の矢」「ルクソール退却戦」「架橋」「いちばん長い夜」「ジェラルスタンの策士」の五編を収録したファンタジー作品集。主人公はそれぞれ違うが、作品世界はまった…

27時間テレビ、いまボクシングが終わりました。それはともかく鹿児島テレビの堀ノ内孝子さんの名前が呼ばれたときには心底ほっとしてしまった。 なぜか松本清張の短編を読んでいるが、やっぱり惚れ惚れするほど面白い。

ということで現在は風野真知雄の連作短編集『喧嘩御家人 勝小吉事件帖』(祥伝社文庫、文庫オリジナル)読書中。密室などが出てくる時代ミステリで、とにかく設定が秀逸。

私が語りはじめた彼は

三浦しをん(2004.05)新潮社 ISBN:4104541036 【エンタテインメント】 かつて、たしかに愛は存在した――のだろうか? 〈大器の本領、ついに現れる!〉という帯のコピーに嘘はなく、とりわけ第一話「結晶」を読み終えたときには質の高さに驚かされた。但し、…

42.195 すべては始めから不可能だった

倉阪鬼一郎(2004.07)光文社カッパ・ノベルス ISBN:4334075711 【ミステリ(……)】 書店でカッパ・ノベルスの新刊を購入する。 倉阪鬼一郎の作品に見えないが、『42.195』はタイトルが示すように、倉阪鬼一郎初のマラソン・ミステリ(倉阪鬼一郎がマラソン!…

転落

永嶋恵美(2004.07)講談社 ISBN:4062124378 【ミステリ】 ホームレスになったボクは、食べ物を恵んでくれる少女の飼い犬になり…… ホームレスに転落してゆく過程がじっくりと描かれるため、最初は躊躇しながら読んでいたが、第二部が始まった時点で「あ、こ…