ただいま蔵書を整理中。それに関連して、以前読んだ作品をなんとなく読み返してみたりしている。三浦明博『滅びのモノクローム』(講談社/第48回江戸川乱歩賞受賞作)、村雨貞郎『マリ子の肖像』(文藝春秋/第4回松本清張賞受賞作収録)など。『滅びのモノクローム』は実に評判の悪い受賞作だったが、そんなに悪い書き手ではないように思う。但し、プロットをもう少し計算できるようにならなければプロとして活動するのはちょっと厳しいか。一方、『マリ子の肖像』のほうは悪評すらほとんど耳にしなかったが、これは渋いミステリが好きな人にはこっそりと勧めてみたい、隠れた佳作集だと思う。
 続いて第45回の江戸川乱歩賞を受賞した新野剛志の最新長編『FLY』(文藝春秋)を読み始め、荒っぽい文章に驚く。新野剛志の作品は初めて手にしたが、こんなに放り投げるような文章を書くひとだったとは。青春小説的な内容に心惹かれるものはあるが、ちょっと文章が今の気分に合わないので中断、代わりに中野順一のデビュー作『セカンド・サイト』(文藝春秋/第20回サントリーミステリー大賞受賞作)を読み始め現在に至る。