2004-06-01から1ヶ月間の記事一覧

野沢尚

小説家としての知名度が脚本家としての知名度を超えることはなかったと思うが、私見では、野沢尚は小説執筆においてこそ真価を発揮した才能である。『眠れぬ夜を抱いて』(幻冬舎文庫)は意表を衝いた構成と明確にして力強いテーマ把握で斬新な作品たり得て…

『ブラックランド・ファンタジア』定金伸治(2004.06)集英社スーパーダッシュ文庫 ISBN:408630189X

懐かしい作家たち

マイケル・グルーバーなる新人作家の『夜の回帰線(上下)』が新潮文庫から刊行されていた。ハメット賞受賞作らしいが、まったく興味を惹かない内容であることよ……と思いつつ訳者(田口俊樹)のあとがきを読んでいて仰天。なんとこの作家、ロバート・K・タ…

『消えた山高帽子 チャールズ・ワーグマンの事件簿』翔田寛(2004.06)東京創元社 ISBN:4488017045 『銀輪の覇者』斎藤純(2004.06)早川書房 ISBN:4152085622 明治六年の横浜居留地を舞台とした新鋭の連作と、昭和九年を舞台とした中堅作家の自転車冒険小説…

ラー

高野史緒(2004.05)早川書房 ISBN:4152085711 【SF】 ピラミッドの謎を解明するべく、タイムマシンに乗って現代人ジェディは紀元前のエジプトに降り立つ。 考古学に興味を持つ現代人が紀元前のエジプトにタイムスリップし、そこで現代的知識を披露して「…

『誰でもない男の裁判』A・H・Z・カー(2004.06)晶文社 ISBN:4794927428 『傷痕』アラン・ラッセル(2004.06)ハヤカワ文庫NV ISBN:415041064X 『眠る骨』桐生典子(2004.06)新潮社 ISBN:4104682012 「アラン・ラッセルって誰だっけ」としばらく考え…

望月諒子『殺人者』(集英社文庫)を読了。

星新一『祖父・小金井良精の記(上)』(河出文庫)を読了。何と言っても文章の読み心地が素晴らしい。慌てて下巻を読み始めるのが勿体無いような気がしたので、最近の積読本を先に片付けることにし、ティエリー・ジョンケ『蜘蛛の微笑』(ハヤカワ・ミステ…

妄想代理人

梅津裕一・著/今敏・原作(2004.05)角川ホラー文庫 ISBN:4044250057 【ホラー】 既に崩壊している家族が、形骸すら残さず崩れ去るまでを描く。 WOWOWで放送されたアニメ・シリーズのオリジナル・ストーリー。梅津裕一らしさがよく現れた作品で、どち…

殺しの接吻

ウィリアム・ゴールドマン(2004.06)ハヤカワ・ミステリ ISBN:4150017530 【ミステリ】 才人が描く、刑事と絞殺魔の不思議な関係。 まさか今になって読めるとは思わなかった、ゴールドマン初期のスリラー。才人らしい意地の悪い(褒め言葉)展開にニヤニヤ…

最愛の小川洋子作品『沈黙博物館』が文庫化されました(ちくま文庫)。ミステリとして勧めるには無理があると思いますが、ミステリファンが最初に読む小川洋子作品という観点からも、これが最高のセレクトなのではないかと思います。あるいは中公文庫『寡黙…

また熱を出しました。いったい今年何度目なのか。 蒲柳の質という柄でもないのだけれど、気分はすっかり弱気モード。その最中に某俳優の自殺未遂(?)ニュースを目にして「健康な奴が命を粗末にするな!」と妙な怒りに駆られ、結果的にそれが良かったのか仕…