2004-07-01から1ヶ月間の記事一覧

恩田陸『夜のピクニック』(新潮社)読了。 いやあ、作家としてのキャリアもいい加減長いんだし、各出版社から多作を強いられていて疲れだって来てるだろうし、そんな決して良くない状態のなかで、よくもまあ不意打ちの如くこんな瑞々しい傑作放ってくるよな…

探偵役の設定が見事な風野真知雄『喧嘩御家人 勝小吉事件帖』(祥伝社文庫)を楽しく読了したあと、松本清張の短編(「なぜ『星図』が開いていたか」とか)を拾い読みし、いまは恩田陸『夜のピクニック』(新潮社)を読書中。冒頭部分を立ち読みしたら止まら…

八の弓、死鳥の矢

花田一三六(1996.10)角川書店 ISBN:4047870145 【ファンタジー/架空歴史】 「八の弓、死鳥の矢」「ルクソール退却戦」「架橋」「いちばん長い夜」「ジェラルスタンの策士」の五編を収録したファンタジー作品集。主人公はそれぞれ違うが、作品世界はまった…

27時間テレビ、いまボクシングが終わりました。それはともかく鹿児島テレビの堀ノ内孝子さんの名前が呼ばれたときには心底ほっとしてしまった。 なぜか松本清張の短編を読んでいるが、やっぱり惚れ惚れするほど面白い。

ということで現在は風野真知雄の連作短編集『喧嘩御家人 勝小吉事件帖』(祥伝社文庫、文庫オリジナル)読書中。密室などが出てくる時代ミステリで、とにかく設定が秀逸。

私が語りはじめた彼は

三浦しをん(2004.05)新潮社 ISBN:4104541036 【エンタテインメント】 かつて、たしかに愛は存在した――のだろうか? 〈大器の本領、ついに現れる!〉という帯のコピーに嘘はなく、とりわけ第一話「結晶」を読み終えたときには質の高さに驚かされた。但し、…

42.195 すべては始めから不可能だった

倉阪鬼一郎(2004.07)光文社カッパ・ノベルス ISBN:4334075711 【ミステリ(……)】 書店でカッパ・ノベルスの新刊を購入する。 倉阪鬼一郎の作品に見えないが、『42.195』はタイトルが示すように、倉阪鬼一郎初のマラソン・ミステリ(倉阪鬼一郎がマラソン!…

転落

永嶋恵美(2004.07)講談社 ISBN:4062124378 【ミステリ】 ホームレスになったボクは、食べ物を恵んでくれる少女の飼い犬になり…… ホームレスに転落してゆく過程がじっくりと描かれるため、最初は躊躇しながら読んでいたが、第二部が始まった時点で「あ、こ…

金融探偵

池井戸潤(2004.06)徳間書店 ISBN:4198618712 【ミステリ】 勤めていた銀行が倒産し、不況下で再就職もままならない31歳の大原次郎。住んでいるアパートの大家が巻き込まれた事件がきっかけとなって、探偵家業に精を出すことになる。全七編収録のシリーズ作…

スキマスイッチ『夏雲ノイズ』をぼんやり聞いていて、 それならいっそ君の中に僕の螺旋を残せばよかったって (1.螺旋) これって二重螺旋のことですよね。 ……鬼畜だ(喜)

いい感じで仕事に興味が持てなくなっているので、こういう時こそ更新頻度を上げなければ。 最近読んだ本はデイヴィッド・フルマー『快楽通りの悪魔』(新潮文庫)、翔田寛『消えた山高帽子 チャールズ・ワーグマンの事件簿』(東京創元社/ミステリ・フロン…

百年佳約

村田喜代子(2004.07)講談社 ISBN:4062124211 【文芸/エンタテインメント】 第50回芸術選奨文部大臣賞受賞作『龍秘御天歌』(文藝春秋)待望の続編。 秀吉の朝鮮出兵の際に連行され、九州に住み着いた陶工たちの中心存在である百婆が、夫の葬式を朝鮮式で…

消えた山高帽子 チャールズ・ワーグマンの事件簿

翔田寛(2004.06)東京創元社 ISBN:4488017045 【ミステリ】 明治六年、横浜居留地に名探偵登場。幕末に東禅寺事件*1に巻き込まれ、明治に入ってから〈ジャパン・パンチ〉を創刊した実在の英国人新聞記者、チャールズ・ワーグマンを探偵役に据えた連作ミステ…

カタブツ

沢村凛(2004.07)講談社 ISBN:4062124017 【ノベル/ミステリ】 〈ミステリーの新世界〉と銘打ってはあるけれど、伊坂幸太郎『チルドレン』より更にミステリ味は薄いので、そういった期待は過度に抱かないほうが賢明だろう。六作を収録した作品集で、先日読…

パズラー

西澤保彦(2004.06)集英社 ISBN:4087747042 【ミステリ】 著者が今までに執筆したノンシリーズのパズラー六編を一冊に纏めた作品集。謎と論理のエンタテインメント。未読作品は「アリバイ・ジ・アンビバレンス」しか無く、大半が再読ということになったけれ…

①翔田寛『消えた山高帽子 チャールズ・ワーグマンの事件簿』(東京創元社)は叢書〈ミステリ・フロンティア〉中、最もミステリとして充実した作品だと思う。 ②小野寺健編訳『20世紀イギリス短編選(上)』(岩波文庫)が面白くて仕方がない。とりわけヴァー…