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■最近読んだ本(読了順)
- 黒田研二『幻影のペルセポネ』(文藝春秋)
- 木内一裕『藁の楯』(講談社)
- 五十嵐貴久『Fake』(幻冬舎)
- 沙藤一樹『新宿ミルク工場』(講談社)
- 折原一『偽りの館――叔母殺人事件』(講談社)
- 米村圭伍『退屈姫君 海を渡る』(新潮文庫)
- 畠中恵『ゆめつげ』(角川書店)
- 柳広司『聖フランシスコ・ザビエルの首』(講談社ノベルス)
この中では『Fake』『退屈姫君 海を渡る』『聖フランシスコ・ザビエルの首』が楽しめた。とりわけ『Fake』は意外な収穫で、五十嵐貴久のこれまでの著書の中で最高の出来栄え。読んでいる最中には明らかな欠点と感じられた部分を逆手にとったかのような結末に意表を衝かれた。今年発表されたミステリの中では十指に入る快作だと思う。
『聖フランシスコ・ザビエルの首』はすっきりした佳作。収録四編いずれも謎解きは小粒だが(もっとも柳広司のミステリにおいて謎はいつも小粒だと思うが)、大風呂敷を広げず連作短編の形式でコンパクトに纏めた点を買う。集中では、異文化間に発生した謎を現在視点から解き明かす構成の第一章「顕現――1549」がもっとも好み。
なお、『藁の楯』は(『ビー・バップ・ハイスクール』の著者が書いているためか)流石に内容は面白いが、残念ながら小説としては下手すぎる。但し、小説技巧を身につけたらかなり読み応えのあるものを書いてくれそう。『幻影のペルセポネ』は恋愛描写が不快だった。