2004-03-01から1ヶ月間の記事一覧

『響ヶ丘ラジカルシスターズ』井上剛(2004.03)ソノラマ文庫 ISBN:4257770295 『精霊海流』早見裕司(2004.03)ソノラマ文庫 ISBN:4257770309

帰ってきたアルバイト探偵

大沢在昌(2004.02)講談社 ISBN:4062122901 【ミステリ/エンタテインメント】

ルピナス探偵団の当惑

津原泰水(2004.03)原書房 ISBN:456203758X 【ミステリ】 ミッションスクールのルピナス学園に通う吾魚彩子とその仲間たちが三つの事件に挑む連作本格ミステリ。講談社X文庫ティーンズハートで上梓された二作品を改稿し、さらに書き下ろしの新作を追加。 …

さよならの代わりに

貫井徳郎(2004.03)幻冬舎 ISBN:4344004906 【ミステリ】 劇団〈うさぎの眼〉に所属する新米役者の和希は、可愛らしくもどこか謎めいた奇妙な女性に出会った。彼女の正体は? そして彼女の奇妙な依頼は何を意味するのか? 筋を辿る楽しさを味わえる作品。だ…

ジェシカが駆け抜けた七年間について

歌野晶午(2004.02)原書房 ISBN:4562037385 【ミステリ】 『安達ヶ原の鬼密室』と同様の構成という印象の、軽いトーンの小品。メイン・トリックに何が使用されているかは簡単に見当がつくし、切れ味もそれほど鮮やかとは言い難く、むしろ途中、男性二人の視…

ミステリマガジン2004年5月号

小熊文彦の短編が載っていたので購入する。その作品「赤ちゃんは知っている」は如何にも小品で、とりたててどうこう言えるほど印象的な内容ではない。しかし、〈ハヤカワ・ミステリワールド〉から刊行された奇妙な短編集『天国は待つことができる』(その中…

二人道成寺

近藤史恵(2004.03)文藝春秋 ISBN:4163225803 【ミステリ】 歌舞伎役者の妻を意識不明の重体にした不審火の背景には何があるのか。歌舞伎をモティーフにした連作ミステリ*1の第四弾。 堪能した。奇を衒った趣向やトリックを好むマニアには不評を買うかも知…

『猫舌男爵』皆川博子(2004.03)講談社 ISBN:4062123274 『あやめ 鰈 ひかがみ』松浦寿輝(2004.03)講談社 ISBN:4062122057 『黄昏の百合の骨』恩田陸(2004.03)講談社 ISBN:4062123320 『さよならの代わりに』貫井徳郎(2004.03)幻冬舎 ISBN:4344004906…

黒真珠の瞳 凶眼リューク

草上仁(2004.02)エニックスEXノベルズ ISBN:4757511329 【ミステリ/ファンタジー】 突出した推理能力の持ち主であるため〈凶眼〉と渾名されるヒト族の探し屋リュークは、エルフの未亡人から、彼女の夫を殺した犯人を突き止めて欲しいと頼まれる。犯人は…

DZ

小笠原慧(単行本刊行2000.05)角川文庫 ISBN:4043705018 【SF/ミステリ】 第20回横溝正史賞受賞作*1。感心した。ハイレベルな秀作だと思う。 と先に書いておいて本題に移るが、横溝賞を受賞してはいるけれど、本書の実態はミステリの構成を借りたSFで…

エンドコール メッセージ

山之内正文(2002.08)双葉社 ISBN:4575234451 【ミステリ】 再読。小説推理新人賞受賞作「風の吹かない景色」、受賞第一作でいきなり日本推理作家協会賞(短編部門)の候補になった表題作「エンドコール メッセージ」、ほか二編を収録した期待の新鋭のデビ…

いじん幽霊

高橋克彦(2003.12)集英社 ISBN:4087746801 【時代推理】 〈完四郎広目手控〉シリーズ、第三弾の舞台は幕末の横浜。外国人居留地が開設され、西洋と日本の文化の断層がダイナミックに立ち現れる一方、薩摩・長州・水戸の各藩を中心に一触即発の空気が蔓延し…

文学賞メッタ斬り!

(↓某所からリンクされてしまったので念のため書いておきますが、まだ最後まで読んでません。お間違えなきよう) 途中まで斜め読みした印象は、そこそこは楽しく読めるものの、特に目新しい視点や情報は含まれていない本であるということ、そして小説は矢張…

塩の街

有川浩(2004.02)電撃文庫 ISBN:4840226016 【ライトノベル】 人体が塩の柱と化す奇病(?)に侵された世界の物語。第10回電撃ゲーム大賞受賞作。 新井素子『ひとめあなたに……』やP・D・ジェイムズ『人類の子供たち』などの系譜に連なる世界滅亡小説かと…

『見知らぬ侍』岡田秀文(2004.01)双葉社 ISBN:4575234893 『大相撲殺人事件』小森健太朗(2004.02)ハルキノベルズ ISBN:4758420319 『殺人の追憶』薄井ゆうじ(2004.02)アートン ISBN:4901006649 『ふつうの学校2』蘇部健一(2004.02)講談社青い鳥文庫…

チベット

河出書房新社の今月の新刊、ジャムヤン・ノルブ『シャーロック・ホームズ 失われた冒険』は〈ホームズのチベットでの大空白時代の再現を試みた〉小説だそうで、解説を読むとラドヤード・キプリング『少年キム』(晶文社)との二重パロディにもなっているとい…

期待の若手

上述の松尾清貴は27歳。彼が作品の舞台に選んだのは大正の世で、その時代の雰囲気を達者に描いていると思うが(殊に会話文)、同時に「現代の若手作家が書き上げた小説」という印象も強烈に感じさせる。『彼女は存在しない』の浦賀和宏、『さよなら妖精』の…

簡単な生活

松尾清貴(2004.02)小学館 ISBN:4093861285 【文芸】 タイトルは笠井潔『バイバイ、エンジェル』の一節から。大正時代に生きる青年の姿を活写し、関東大震災勃発の場面で幕を下ろす文芸作品。 完成度云々はさておいて、なんだかとても気になる才能の登場で…

なんとなく書き連ねてみる

『ファウスト vol.2』はトム・ジョーンズの「コールド・スナップ」しかまだ読んでいないが、心地良く読み終えることができた。好きだな、こういう作品。但しこれを「ぼくたちの時代の海外文学」と称して良いかどうかには疑問が残る(この主人公と妹って、い…

伴野朗死去

つい先程まで知らなかった。1976年『五十万年の死角』で第22回江戸川乱歩賞を受賞してデビュー、84年には連作短編『傷ついた野獣』で日本推理作家協会賞を受賞。最後に読んだ伴野の新作は『白公館の少女』(新潮社/新潮ミステリー倶楽部)か『上海発 奪回指…