ミステリマガジン2004年5月号

 小熊文彦の短編が載っていたので購入する。その作品「赤ちゃんは知っている」は如何にも小品で、とりたててどうこう言えるほど印象的な内容ではない。しかし、〈ハヤカワ・ミステリワールド〉から刊行された奇妙な短編集『天国は待つことができる』(その中でも、とりわけ「この日だけの三人」が素晴らしい)を読んで以来、この作家の作品世界と文章はなんとなく気になっている。ミステリマガジンで連載されていた辛口の映画・小説コラム「彼らもまた忘れられた」も面白かった。
 「隔離戦線」では、池上冬樹による某作家の某作品(匿名にしてあるが、これはほぼ間違いなく集英社から刊行された乱歩賞作家の作品だろう)の批判記事が興味深い。