いい感じで仕事に興味が持てなくなっているので、こういう時こそ更新頻度を上げなければ。
 最近読んだ本はデイヴィッド・フルマー『快楽通りの悪魔』(新潮文庫)、翔田寛『消えた山高帽子 チャールズ・ワーグマンの事件簿』(東京創元社ミステリ・フロンティア)、小杉健治『弁護側の秘密』(フタバノベルズ)、小野寺健編訳『20世紀イギリス短編選(上)』(岩波文庫)、千秋寺亰介『顔のない骸 白鴉事件帳』(トクマノベルス)、ロバート・ファン・ヒューリック『雷鳴の夜』(ハヤカワ・ミステリ)、沢村凛『カタブツ』(講談社)、西澤保彦『パズラー』(集英社)、村田喜代子『百年佳約』(講談社)。とりわけ『20世紀イギリス短編選(上)』と『百年佳約』は極上の読書時間を与えてくれた。
 千秋寺亰介『顔のない骸 白鴉事件帳』(トクマノベルス)は伝奇小説『怨霊記』(最初の巻〈四国結界篇〉だけ読んだ。そこそこ面白かった)でデビューした著者の初の書下ろし本格推理という触れ込みなので買って読んだが、これは本格推理どころか推理小説ですらない。というか、多少は推理小説に似ているところが余計タチが悪い。というより、この小説に〈書下ろし本格推理〉だの〈コロンボ形式の倒叙ミステリー!〉だのという惹句を添えた編集者にこそ猛省を促したい。推理小説ということを離れて読めば……面白くなくはなかったかも知れない(微妙)。ところでこんなにエクスクラメーションマークだらけの小説は初めて読んだように思う。春陽文庫カバーの内容紹介みたいな文章だね。
 それにしても最近の疑問は、〈新伝綺〉のフレーズ誕生の数ヶ月前にトクマノベルスが〈新伝奇〉というレーベルを開始していたことを、講談社の編集氏は知っていたのだろうか、ということ。だからこそ〈新伝綺〉という字面になったのだろうか。

顔のない骸 白烏事件帳 (トクマ・ノベルズ)