最近の読書

 更新を休んでいたからといって、何も読んでいなかったわけではない。たとえば小路幸也の第二長編『高く遠く空へ歌ううた』や斉藤純の官能小説集『ただよう薔薇の午後』については、時間が空けば感想を書いておきたいと思うし、井上一馬の小説集『モンキーアイランド・ホテル』に収録されている中編「奇跡」(愛着の深い作品になりそう)と望月諒子の衝撃的なデビュー作『神の手』は、同じ「盗作もの」でありながらこれほど違う印象を齎すものか、と強い感銘を受けた。とくに『神の手』の破壊的な気迫には正直度肝を抜かれる思いで、本年度上半期最大の問題作と言っても良いかも知れない。
 『このミステリーがすごい!』の出張版みたいな印象のムック『1億人のためのミステリー!』は、ミステリ的な立場から阿部和重インタビューを敢行している点が面白い(『インディヴィジュアル・プロジェクション』はもっとミステリ・ファンに読まれて良い作品だと思う)。しかしあとの部分は『活字倶楽部』最新号*1の充実度に負けている。

*1:島田荘司貫井徳郎高田崇史伊坂幸太郎畠中恵宇山日出臣冲方丁インタビューに加え、囲み記事では米澤穂信も登場している。